銀座 「大衆割烹 三州屋」 「ささもと」 ボンクラ座礁酒場

10月 04, 2011 No Comments by

ツービートが漫才で銀座のことを「田舎のホステスが待ち合わせる場所」なんてヒドイことを言ってたのを覚えているが、確かに自分がガキだった八十年代頃の銀座という場所にはそういうある種の泥臭さというか、何か加齢臭と共にイメージするようなところあったように思う。

いろいろな文筆系の方々が書いているように銀座が先端の場所であった黄金期というのは大体昭和30年代前半までと言われているけど、当然ながらその時代のことはすでに歴史の彼方のことで、そのかつての栄光が逆に足を引っ張って先に行けないまま苔生していく場所みたいな。実際その後のバブルの頃も高級クラブを中心としたオヤジレジャー系は別にして、街としては正直何かパッとせず、訪れる人も往時に比べるとおそらくカナリ減っていたんじゃないかな。
んな感じだったんで、バブル崩壊後に現在のような感じで持ち直して来たのは以外ってほどじゃないが、やっぱり地力のある街は違うなとちょっと感心したりしちゃったんである。おのぼりさんシフトと店舗のフラット化が進行してのものではあるんだけどね。

さて今回は初の銀座進出ということで、ちょっと偵察的に毛色違う二つの酒場を流すカタチでハシゴをして、この街のそういう地力を確認するブツカリ稽古をサックリしてみっかというのが今回の趣旨である。すみません今考えました。でもまあ、結果的に今回はそんな感じになっているんでよろしくメカドック!

かつての戦後焼跡パンパンゾーンである交通会館前でCUE氏と合流し、銀座だから言って特にハイソサエティモード的なものは微塵も無い感じでジャポネ(異形スパゲッティ屋)での大食いの話なんぞをしながら一軒めの現場へと向かう。今回も相変わらずのゴーストバスターズになってゴーストをやっつけに行くのかとと思いきや、PVでベットの下から顔を出すレイ・パーカー・ジュニアだったみたいなボンクラっぷりである(書いててよく分からん)。
「三州屋 銀座店」看板
一軒目の「大衆割烹 三州屋 銀座店」は銀座二丁目、プランタン銀座本館の裏通りを八重洲方面にちょっと行ったところにある。この辺り、昔はオヤジ臭い店ばかり(というか銀座全体そうだったんだけど)という印象の場所だったが、ABCマートやらチェーン系の居酒屋やらが結構出来ていてちょっと驚く。なお、今回の三州屋にも「銀座店」と付いていて、都内にいくつか店舗もあるんでチェーン系なのかと思ってしまうんだけど、基本暖簾分けというカタチでそれぞれ独立したものであるらしい。この銀座店は淘汰の波がビシビシとくる銀座で40年近く生き残っている老舗居酒屋である。“大衆割烹”ってわざわざ名乗ってるんで内容の説明はいらんよね。
「三州屋 銀座店」路地
店に近づいていくと看板はあるけど店舗らしきものが見えないので変だなと思っていると、通りからとても銀座とは思えない雰囲気の路地の奥にチンマリと隠れている。こりゃ始めての人は迷うよな。サライが「立て籠もり犯が選ぶ東京の酒亭50選」とかやったら、間違いなく上位に食い込みそうな店構えだ。
「三州屋 銀座店」拡大マップ
グーグルの地図で見るとさらに、そのヒキコモリっぷりが目立つね。どういう経緯でここで開業したのかとか、その前はどんな店が入っていたのかとか、いろいろと気になるところではあるが、その辺は後にすっ飛ばして、とりあえずズズっと入店。
「三州屋 銀座店」店内
結構混んでんな。というか満員に近い。座れるのかとか思ってたら、給仕バアサンが「こっち入って」と適当な感じですでに先客のグループが居るテーブルを指差す。確かに奥の二席空いてるけど、なんだかなあと嘆息してみたものの、バアサンその後完無視なので、仕方なくすみませんという感じでそのテーブル奥にもぐりこむように座る。自分の隣のオヤジは酒が進んでいるのもあり思い切り嫌な顔をしている。こっちも嫌だよ馬鹿野郎とかグッと来たが、部下と思われる女性がフォローを入れたので抑える。
テーブルは一枚白木の立派なもので、カウンターも同様な感じ。しっかりと磨かれた柱、窓のすりガラスと壁に並ぶ品書きと、店内の景色はちょっとセットのようなベタさだ。そういう店内に合わせて年齢層が高めかと思ったら、結構バラけているのが意外である。
「三州屋 銀座店」南蛮漬け
とりあえず、両名共に生を頼むとさっきの対応とは違い、お通しの南蛮漬けと一緒にすぐに持ってきた。が、その後注文をバアサン取りに来やがらねえ!というか他の客への対応を見ていても、この店の給仕バアサン達のヤル気の無さはちょっと感動するくらいだ。ようやくCUE氏がバアサンを捕まえ、「(この店)始めてなんですけど、何頼んだらいですか?」とジャブを放つと、「いっぱいあるんで、何薦めていいのかわかんないねぇ」と見事なスウェー。いや、スウェーしちゃ駄目だろ店的に。
他の三州屋で昼定食をちょこちょこ食べて若干のリサーチもあるCUE氏のネゴシエイトにより、バアサンからソラマメの天ぷらとカンパチの刺身というオススメを引き出し、それにアジのフライを追加して頼む。なんでオススメ食うのに交渉しなきゃならんのだ。
「三州屋 銀座店」サッポロビールポスター
そんな毒蝮三太夫も丁寧語で説教しそうな接客の受け止め方が分からずにちょっと考え込んでしまったが、すぐにこれは「ドリフ大爆笑 もしものコーナー」であるという啓示が訪れ、全てがクリアに。そうか俺たちはいかりやだったのか。そう考えると、股間を鈴付き紅白縄で洗われても許さないとなと、逆に全てのことが楽しくなってきた。
そういや、店内のバアサン見ると、志村けんっぽいバアサン、仲本工事っぽいバアサン、高木ブーっぽいバアサンとそれっぽいイイ面子がそろっている。加藤茶ポジションが居ないのは残念なんだけど。
「三州屋 銀座店」そらまめの天ぷら
と店のコンセプトを掴んだところ(いやいや)で、ちょこちょこと注文の品がやって来たんだが、入店時から自分らを担当するカタチになっていた志村ババアが全然頼んだ覚えの無いホタテの貝皿焼きも持ってきて、違うと言う間もなく置いていってしまう。別のを持ってきたときに違うと言っても、「そうかしら~調べてくるわね。」と言うものの全く調べる気は無く、そのまま放置。いいから持っていってくれよ!志村のババアコントそのままじゃねえか!
「三州屋 銀座店」カンパチ刺身
で、ババアの話ばっかりになっちゃったけど、肝心の料理関連はどうかというと~、いや素晴らしいです。ホントホント。特に素材が。正直「割烹」と名乗っている割には刺身がちゃんと切れてなかったりしたりしてどうなの?って思ったりもしちゃうんだけど、素材に関しては文句なし。なるほど、これで40年続いてきたんだな。昼の定食も平均千円と居酒屋のランチにしてはちょっと高いような気もするが、こりゃ素材代考えるとそうとも言い切れないんだね。ソラマメの天ぷら、カンパチの刺身共に絶品。
「三州屋 銀座店」ホタテ貝皿焼きの砂
と、料理を堪能していると、CUE氏が仲本ババアが給仕に使っているアルミ盆が、銅像のハナ肇を散々殴った後みたいにボコボコになっているのを目敏く見つけて、大いにウケる。どこまでコント仕様なんだよ。ウケつつ全く持ってく気配の無いホタテの貝皿焼きを、もう面倒くさいから食っちゃおうと口に入れたら、砂でジャリジャリ。駄目な海の家コントかよ!いかん、どんどん暗黒面ならぬドリフ面に引き込まれていく。いや、ドリフじゃないんだけどさ。
「三州屋 銀座店」ビンビール
もしもシリーズの最後のSEの違いって、ネタによる分類みたいのがあるんだろうか。とか考えるようになっちゃって、もう頭の中がドリフ面に落っこちていくし、大体店の内容も把握したのでそろそろ次の店へっつーことで清算。何か役割分担でもあるのか今度は高木ババアが伝票を取りに来る。計算担当なのかなと思ってたら、伝票をそのまま厨房の中の人に投げるように渡しやがるのでガーン!となる。アンタがやるんじゃないのかよ!
しっかりオチも付き愉快なまま退店。
「三州屋 銀座店」入り口
次の店に向かいながら、CUE氏がこの周りが囲まれた他に使い道の無い立地ってのがこのユルイ店が続いている理由の一つなんじゃないかとスルドイ指摘をする。確かにこの立地だと嵐が吹き荒れようが、サメが獲物を探しに来ようが、蛸壺よろしく中にゃ関係ないだろう。そして、そういう外の弱肉強食な世界で疲れた客達で店は繁盛している。映画が必ずしも完成度だけで評価をされないのと同様、ユルイ店にはユルイ店で需要があるのだ。両名ともにそういう“個性”を称揚したところで、一軒目の「大衆割烹 三州屋 銀座店」編はシメと。

大衆割烹 三州屋 銀座店
住所:東京都中央区銀座2-3-4
電話:03-3564-2758
定休日:日曜
営業時間:11:30~22:00(ラストオーダー21:30)

 

 

二軒目の「銀座ささもと」は銀座四丁目。晴海通りにある天賞堂の横を曲がってすぐ。銀座ど真ん中って感じ。
「銀座ささもと」入り口
銀座ささもとは新宿思い出(しょんべん)横丁にある人気もモツ串焼店の支店として昭和57年(1982年)に開業。結構歴史があるんだね。新宿店は女性客のみだと入店できないとか、ダラダラ話をしてると帰ってくれと言われるとか面倒でハードボイルドな掟やらがあるようだが、こっちはそういうものもなく入りやすい感じ。というわけでさらっと入店。
「銀座ささもと」ポスター
入ってみると、するよするよ新宿臭が。店内には映画やら演劇やらおよそメジャーじゃない辺りのポスターやチラシがアチコチに貼られており、自分らが座った席の裏にはなんと『太陽を盗んだ男』のポスター。そしてBGMはジャズだ。そんな新宿臭と店員の黒Tシャツに何か嫌な予感がしつつも、とりあえず生ビールと初見だしなと串ものが一通り出てくるらしいセットを頼む。
「銀座ささもと」店内
客の入りはカウンターのみにパラパラ。なんだろうピークの時間は過ぎたのだろうか。
「銀座ささもと」モツ煮串
モツ煮串は引き上げるだけなんですぐに出てきた。ひとくち口に入れてさっきの不安はイスカンダルの彼方へ吹っ飛ぶ。こりゃあ旨い。白味噌系の比較的薄めの汁で丁寧に下処理がされたモツをしっかりと煮込んだ上品な味。
「銀座ささもと」生レバー串と生ハラミ串
その後すぐに来たラム串、そしてそれに続くハラミの刺身串と生レバー串も脳みそに炭酸水でも注いだようにドーパミンがシュワシュワと弾ける逸品である。どれも臭みのようなものは全く無い。黒Tシャツで心配していた店員の対応もキビキビとしていながら、客の様子をしっかりと注視していてマニュアル対応とは無縁な感じで一安心。
「銀座ささもと」カウンター
落ち着いたところで店内を見渡すと、新宿的な店内ではあるものの妙な清潔感があるのに気づく。この辺はやっぱり街の地金といった部分が出ちゃうんだろうな。モツ串焼きに付き物のやっかいな酔客も長居しづらい雰囲気があるんで、女性だけで来ても特に問題はないだろう。
「銀座ささもと」壁
ついでに入ってきた時にザッと見たポスターやチラシを確認していくと、ギュンター・グラス原作の映画『ブリキの太鼓』やゴダールの『はなればなれに』、ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』なんかが並んでるのは順当なところだろうが、何故か平沢進と岡本太郎が縦に並べてあったり、水野晴郎先生のシベ超もあったりするのは『七人の侍』で勘兵衛が言ってた「いい城にはきっと隙が一つある」ってやつだろうか。水野先生隙なのかよ。
「銀座ささもと」ハラミ串とコブクロ串
とか言ってるうちにやってきたハラミ串がこれまたダイナマイトキッドのツームストン・パイルドライバーを喰らったような衝撃。唸るね。旨い旨いと食いながらCUE氏とそれにしちゃ空いてね?と話し合う。店内にはすでに自分らしか客は居ない。確かにここの串はガード下にある店の倍くらいするが(酒も結構)、この内容で銀座のほぼ中心ってのを考えるとむしろ安いんじゃないかと思うけど、銀座であっても酔っ払いは安さだけ、ハイソサエティは雰囲気だけっつーことなのか。勿体無い勿体無い。偶然空いていたと思いたいね。
「銀座ささもと」煮込みキャベツ串
最後に来た煮込みキャベツ串(モツ煮串も追加)もツマミとして最高。なお、ここは焼酎(キンミヤ)の葡萄割りが名物なんだけど、今回は“座礁”したら偵察にならんので、酒はあっさりめで。この辺は次回だな。この葡萄割りおひとり様3杯までだそうである。んな感じですっかり満足して以上清算。
「銀座ささもと」提灯
というわけで、ちょっと駆け足っぽい感じで毛色の全く違う二店を流したわけだけど、以上に偵察内容からも分かるように、どっちもくだけた人間と行くには最高の店なんじゃないかと思う。チェーン系やらが増えつつも、こういう街の雰囲気に寄り過ぎていない個性のある店がそれぞれキッチリ生き残って営業してるって辺りが銀座のソコジカラなのかもしれない。どっちも他の街と比べるとちょっとお高めだけど、まぁ毎回銀座来るワケじゃあないんだからいいんじゃないかな。っつーわけで、今回は以上。

写真協力:CUE氏

銀座ささもと
住所:東京都中央区銀座4-3-7 華菱ビル 1F
電話:03-3564-5881
定休日:祝日の月曜日
営業時間:
・平日
16:30~23:00(ラストオーダー)
・日曜・祝日
16:00~21:30(ラストオーダー)

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ライターの紹介

正規軍に偽装したWEBゲリラ屋。ゲバラよりはカミロ・シエンフェゴスって思うけどヨタヨタのカストロに一番感情移入してしまったり。

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