横須賀中央 大衆酒場「天国(てんくに)」 ボンクラ座礁酒場

10月 12, 2011 2 Comments by

シリーズ初の都内を離れてのボンクラ座礁酒場になるわけだけど、別に狙って行ったわけじゃないんだな。自転車自主トレを三浦半島でする!→東京発で一泊ということで宿を探す→たかが自主トレなのでリゾートホテルはアホらしいし、旅館は自転車持ち込めないのでビジネスホテル辺り→色々折り合う良さげなのが横須賀だった→という感じで、まぁ偶然というか。
横須賀なら妖しげな繁華街とそれに付随するオヤジ系居酒屋もあるだろうから、当然の義務感として行かねばならぬ行かぬは人の為さぬなりけりと上杉鷹山マインド(よく分からん)で現地に赴くことになったんである。で、どうなったか詳細は以下披露っ。

というわけで、自転車を駆って都内を出てから順調に川崎、そして横浜へ。ここでちょっと寄り道。横浜駅構内に入って崎陽軒のシュウマイ弁当を買い、高台にある野毛山公園で真下の黄金町辺りを眺めながらそれを喰らう。軽い黒澤明『天国と地獄』ツアーっていうわけだ。しかし、食い終わってからハイからローへと黄金町へ向かうが、話に聞いていたようにちょんの間兼だったスナックはほぼ営業してないし、ガード下を含めたビンボ臭いアートスペースも出来ていて、特に見るべきものも無く、とっとと横須賀へ向かう。
横浜から横須賀間は困ったことに、都内よりも排ガスがヒドイ。山間やらトンネルが多いっていうのもあるが、この辺りからボワボワと煙を出して走る原チャリが妙に多いのだ。なんだろう「湘南の風」ゾーンが近いせいだろうか。神奈川入った時点で微風状態ではあったんだけどさ。その辺我慢しつつ最後のトンネルを抜けて、汐入に入るといきなりデカイホテルやショッピングモールがどーんとお出ましでちょっと驚く。そのままドブ板通りを走るがナンか普通だ。横須賀っていうと矢作俊彦の作品群にあるような暗いものを背負ったイメージがあったんだけど、明るいじゃん。そういうもんはもう滅び去ってしまったのかなと、夜の酒場への入港がちょっと心配になったりして。
戦艦 三笠
まぁ夜は夜でどうにかなんだろうと、まずは横須賀に来ての第一目標であった三笠公園へ向かう。やっぱり戦艦三笠は見ておかないとね。正直それほど人は居ないんじゃないかと思っていたけど、NHKのドラマの影響か家族連れやカップルが多い。ガッカリしないように期待しないで三笠内に入ったが三笠そのものもそうだが、展示物等を見ていても結構楽しく、おもいっきし長居してしまう。暗くなる前に馬堀海岸に行って帰ってこようかと思ったけど、こりゃ無理だなと真っ直ぐホテルへ。
ホテル横須賀・エレベーター
宿は米が浜通りから裏に二本ほど入ったやや分かりづらい場所にあるホテル横須賀。ネットで適当に選んだ宿だ。申し訳ないが病院が脇にあるようなちょっとうらぶれたような場所にあって一人で泊まるにはちょうどいい感じである。自転車を輪行状態にたたんでチェックイン、エレベーターで部屋に向かうと中が英語の注意書きだらけ。米軍基地もあるからなと眺めていると、端に「当ホテルが紹介されました。」と嵐山光三郎『日本百名町』から抜かれたテキストが貼りだされている。

横須賀港には軍艦が碇泊していて、アメリカ兵が多い。
泊まるならホテル横須賀がおすすめである。外国人客が多く、外国に行った気分になる。
港ぞいに新しいホテルニューヨコスカができたが、三十年前の、ヨコスカの気配が残っているのは、古くからのホテル横須賀のほうなのだ。

そうか、そういうホテルだったのか。偶然とはいえ御誂え向けだ。エレベーターを降りると赤い絨毯といい、ドアにデカデカとある部屋ナンバーといい、確かに何か日活映画の典型的な古い港町のホテルといった風情がなんとなしにある。部屋に入るとシングルの割りには結構広く、ソファがあり、普通の2ドア冷蔵庫、空のチェストと電子レンジも置かれていて完全に長期滞在者向けと言った感じだ。ソファの上の窓を開けると隣の家の屋根が見える。誰かに踏み込まれる前に屋根から逃げられそうだな、と気分はもう密売人。この宿気に入ったぜ。
横須賀・スナック看板
シャワーを浴びて、早速街に出掛ける。といってもまだ6時ちょいなので飲むにはまだ早い。かつての妖しげだった頃の横須賀の残り香を探して、しばらく街を彷徨うことにする。
米が浜通りに出て横須賀中央駅の方へ向かうが、なにやら侘しい感じでシャッター通り気味。であるのに、どういうわけかスナック関係の看板だけはやたらと瞬いている。入り口前でタバコを吸うホステスと思われる女性は黒人系のハーフだったりして、やっぱり客は基地関係者が多いんだろうか。三笠公園辺りでも基地関係者とケバいネーチャンってカップルを見かけたしな。その辺は三十年前から変わっていないんだろう。
横須賀・金星劇場
駅近くに来てもやっぱりシャッター状態の店が多い。駅ビルは立派なんだけどねえ。と、ふらりと入った横丁に成人映画館を発見してうれしくなる。あちらこちらが剥げた「金星★劇場」と書かれた看板が素晴らしい。「オールカラー」って何時からあんだよ(後で調べたら建物自体は昭和2年からあるらしい)。現役でやってるってところがイイ。うーん、これは残してもらいたいな。
横須賀・やきとり相模屋
金星劇場を通り過ぎるとすぐに今回の店に辿り着いてしまったんだけど、中を覗くと写真が撮りやすそうな入り口近くの席が空いてないので一旦スルー。そのまま街の徘徊を続ける。駅方面にちょっと戻ると「相模屋」というヤキトリ屋が大繁盛。細い脇道で店頭販売もしているらしく、基地から出てきた黒人も地元住人と一緒に立ち食いしていて面白い。そのままドブ板通りの方まで探索してみたけど、やっぱり街の規模に比べて飲み屋系、水商売系が多過ぎる。港町だけでもってたころから、他所もんを受け入れてナンボな街なんだろうな。海上自衛隊関係者もうろうろしてたし。
大衆酒場「天国」・入り口
街の様子も大体分かったし、そろそろ酒飲むかと、店に戻るとウマい具合に入り口近くの席が空いている。ってわけで、今回紹介する大衆酒場「天国(てんくに)」は創業40年以上の老舗居酒屋。昼間から地元の常連でいっぱいという人気店らしい。確かに他の席はいっぱいという感じ。
初めての街で初めての酒場に一人で入るときは妙な緊張感とワクワク感があるが今回も御同様。グイっと自分を鞭打って気合を入れた後、歴史を感じる縄のれんをくぐってズズずいっと入店。
大衆酒場「天国」・店内
毎度お馴染みだけど、オッサンしかいねえええええええええ。でも日曜ってのもあるけど、何時もと違いリーマンではなく、地元の働くおじさん(ジーさん)が中心って感じか。昼間からやっているっていっても、浅草辺りの飲み屋に漂う駄目人間オーラとは違う、キチンと仕事している(していた)んだぜっていう健全な労働者オーラが漂っていて、店内の雰囲気は非常によろしい。
店の造りは大衆酒場でよくあるコの字型のカウンターではあるんだけど、細長い店内の片方が長~いカウンターになっていて、片方が途中から座敷になっていてその奥が厨房とちょっと変わっている。自分は写真でも分かるようにコの字の先端の部分に座っております。どうもこの場所テレビ見えないんで人気が無いようだ。横の黒いのは日本酒サーバー。
というわけで、注文となるわけだが、当然名高い横須賀ホッピーをたのむ。一応知らん人に説明すると横須賀ホッピーってのはそういう銘柄があるわけではなく、横須賀でホッピーをたのむと三冷(ジョッキ、ホッピー、焼酎がギンギンに冷やしてある)した上に、中身が通常の倍以上あるっていう危険なシロモノが出てくるらしいんですな。危険過ぎるなと氷はしっかりと付けてもらう。
食い物の方は、この店の名物である手羽の唐揚をたのむべきなんだろうけど、正直身体が疲れきっていて油ものを欲しないので、泣く泣く海鮮系中心のものとする。っていうか疲れきってるのに酒飲むなよっていうセルフツッコミをしてから、とりあえず、旬ってことで秋刀魚の塩焼に個人的好みでサザエの刺身を追加して注文。
大衆酒場「天国」・ホッピー
ホッピーはすぐに出てきた。中身が都内でよく見るものと違い尋常じゃないくらい入っている。うーむといいつつホッピーを注いで見るが、薄くて全然ホッピーっぽい色じゃない。飲んでみると冷えてて美味いけど、いやーこりゃほとんど焼酎だわ。ツマミが無いと飲めんなと思ってたら、ちょうどサザエの刺身が来たので、チビチビと飲みつつホッピーを追加するという姑息な感じでやっつけることにする。
大衆酒場「天国」・サザエの刺身
入ったときから、自分の一つ空いての斜め前の席(コの字だからね)にはレゴの腕時計にiPhoneという店の客層とはチト毛色の違う男性が座っていて、食ってるもんやらをパチリパチリと撮っていたら話しかけてきたので、これはもしやと思ったら、案の定カメラ好きの人であった。フィルムで撮って自分で現像しているといいカメラを見せてくれる(失礼ながらカメラ名失念)。なんだこのシリーズ、カメラ好きと出会うのが裏テーマなのか。というか、今回変な偶然が多いな。この辺が地方酒場でのカウンター独り飲みの醍醐味でもあるんだけどさ。
大衆酒場「天国」・秋刀魚塩焼
秋刀魚もやってきた辺りで、横須賀出身だということなので、ここが何時頃から“健全化”しちゃったのか聞くと「ダイエーが出来た頃からかなぁ」と言う。なるほど、地図で海岸沿いを見ていくと、ダイエーを含むショッパーズプラザとかいうのだけじゃなく、似たような類のモールっぽい場所や大手量販店系の店がいくつかある。三十年前と違い、海運の衰退やら逆にアメリカ軍の方に金渡すようになっちゃったとか(ドブ板通りはこの辺だろう)いろいろあるんだろうけど、横須賀も地方都市にありがちな問題を抱えているっていうわけだ。
そして、そういう店が昔ながらの商店街から生活物資を買う客を奪ってシャッター通りへと追いやる一方で、暗い部分は引き受けようとしないので、以前からあった大量のスナック・飲み屋群だけが古い街に生き残って妙なことになっていると。
でも、自分のような来訪者からするとその辺が妙な魅力になっているような気がする。住んでる人はいろいろ不便も多いんだろうがね。
それはともかく、秋刀魚アブラのっててめちゃウマ。
マミヤRZ67
会話も進み、向こう側にツレの人が来たり、ツイッターのフォローをし合ったり、ホッピーの中身も追加した(通常のホッピー4杯分って事になる)辺りから写真がおろそかになってしまったようで、食ったはずのだしまき玉子やらが抜けている。それなのに公務員だというツレの人が持ってきたマミヤRZ67の写真はあったりして(こっちは名前を忘れそうなんでメモった)。
大衆酒場「天国」・芋の天ぷら
いつの間にか注文していた芋の天ぷら(油駄目なんじゃなかったのか)が来て、それを食いながら店内を見ると若干客が入れ替わっていて、オッサンの間に老夫婦っぽい人達も居たりして何かちょっとアットホームな雰囲気になっている。飲んべだけじゃない地元の人間に愛されているってのはいい店って証拠だ。それだけじゃなく、常連じゃない一人飲み人間(自分)がいままで経験無いくらいに居心地がいいと感じる。ちょっと注文が通りづらいんだけどさ。逆に言うと、客がまんべんなく平等にほっとかれてるってことなんだけどね。なんだろう、なんでも受け入れてきた港町の寛容さがこの辺りに残っているってことだろうか。
続けてやってきた焼き油揚はなんと100円。これだけで粘れそうだな。
大衆酒場「天国」・看板
この辺りで疲れと横須賀ホッピーのコンビネーションで結構酔いが進んだので、明日走れなくなってしまうなとブレーキをかけておあいそ。レゴの人とマミヤの人に挨拶して店を出る。
大衆酒場「天国」。また来るぜ、今度は手羽の唐揚食べに。
ホテル横須賀・ネオン
フラフラとホテルに戻ると、入り口で駄目なアメリカン風味のネオンライトが輝いていて笑いながら部屋へ向かう。今回の酒場が良かったってのもあるが、横須賀のスタれてるんだか、ヤサぐれてんだかよく分かんない雰囲気をすっかり気に入ってしまった。次回は逆に鎌倉方面から横須賀に入って一泊ってのも良いなとベットに寝っ転がって考えていたら、窓の先にある脱出用屋根(違う)の上で猫がフーギャーと喧嘩をしている。いや、もう雰囲気盛り上げてくれなくても十分だって。

大衆酒場「天国」
住所:神奈川県横須賀市若松町1-14
電話:046-823-7286
定休日:無休
営業時間:
平日 12:00~23:00(ラストオーダー・22:30)
日曜 13:00~22:30

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正規軍に偽装したWEBゲリラ屋。ゲバラよりはカミロ・シエンフェゴスって思うけどヨタヨタのカストロに一番感情移入してしまったり。

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2件のコメント to “横須賀中央 大衆酒場「天国(てんくに)」 ボンクラ座礁酒場”

  1. nick says:

    いやいいですね。どんよりとした解放感がたまらない。自主トレおつかれさまです。

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